1.簿記とは

簿記とは、取引を帳簿に記録してNPO法人の成績表を作成するための技能(スキル)のことです。

例えば、あるNPO法人が、文房具を買ったとします。

そうすると、文房具屋さんで、お金を支払い、文房具を受け取ります。

こういう行為を簿記の世界では「取引」と呼びます。そして、このような「取引」はNPO法人のような団体では毎日のように行われていますね。

このNPO法人が行う取引の量は膨大ですから、それを毎日のように記録していかないと、何が何だかわからなくなり、どれだけ事業が上手くいっているのか、お金がいくら残っているのか、借金はあとどれくらい返さないといけないのか、といったことが見えなくなって、気がついたときには「破産」なんてことになってしまうかもしれません。

そこで、簿記という技術を使って記録し、どんな財産がどれだけあるのか、どれだけ財産を残せたのかといった企業の成績表(=決算書=財務諸表)を作ることが求められます。そして、この成績表は、今後の予算や戦略を立てる上で、とても重要な資料となります。

今回、この講座で学ぶ成績表(=決算書=財務諸表)は、次の2つです。

 

財務諸表の種類

①貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)
期末における団体の財政状態を明らかにする表

②活動計算書(かつどうけいさんしょ)
一会計期間における団体の活動成績を明らかにする表

 

ここで、今回のタイトルになっているNPO法人に簿記のスキルは必要か?ということを考えてみます。

すべてのNPO法人は、それぞれ「財務諸表」を作りますが、もし自分勝手な方法で作っていたら、それを読んだ人達(一般市民)は理解できず、また他のNPO法人と比較することも難しくなって、大変困ってしまいます。簿記という技術はどこでも通用する共通言語のようなものです。ですから、上の問題を解決するためには、この共通言語である簿記を使って記録し、財務諸表を作成したほうが良いということになります。

 

2.簿記の用語

(1)会計期間
NPO法人は継続して活動しているため、成績表(=決算書=財務諸表)は、期間を区切って作成します。
①会計期間:決算書を作成するために定期的に区切られた期間のことを言い、通常1年を区切りとします。
②期首(きしゅ):会計期間の初日。
③期末(きまつ):会計期間の最終日。
④期中(きちゅう):期首と期末の間の期間。
⑤当期(とうき):現在の会計期間。
⑥前期(ぜんき):当期の一つ前の会計期間。
⑦次期(じき):当期の一つ後の会計期間。または翌期(よくき)ともいう。

 

 

会計期間は、個人事業主の場合は、所得税法によって、毎年、期首を1月1日、期末を12月31日とする1年間とされていますが、法人の場合は、原則として自由に定めることができます。(期首を4月1日、期末を3月31日とする1年間とする法人が多い。)

(2)単式簿記と複式簿記

帳簿記入(簿記)の方法には、「単式簿記」と「複式簿記」があります。

単式簿記

これは、わかりやすく言えば、例えば、家計簿や小遣い帳のような「現金出納帳」を帳簿として取引を記入するやり方です。この方法は、特別な会計知識を持っていなくても会計記録を作成できるという利点がありますが、現金以外の取引を記入できないという欠点があります。

複式簿記

これは、取引を原因と結果という2面からとらえ、後述する「仕訳」という作業によって取引を記録するやり方です。最低限の会計知識がないと正しい会計処理はできませんが、現金以外のどんな取引でも記入することができます。 この講座では、この複式簿記を学びます。