前回までは、簿記の基本作業を行うために必要な知識を学んできました。
今回は、NPO法人の会計を行うために必要な「事業別仕訳」について学びましょう。

 

1.事業別仕訳とは

(1)事業とは

まず、NPO法人は、定款に定められた事業を行いますが、事業年度終了後に作成される財務諸表(=決算書)の「活動計算書」では、費用を「事業費」と「管理費」に分けて表示したり、「注記」では、任意ですが、事業ごとの「収益と費用の状況」または「費用の状況」を表示するようになっています。
このことから、仕訳段階からその勘定科目がどの事業の収益、費用であるかを分けておく必要が出てきます。

 

(2)事業別仕訳の注意点

取引の段階で、その収益や費用が自団体のどの事業のためのものかを把握して、仕訳をする際に、その事業名も一緒に仕訳項目として入れておくのが便利です。
市販のNPO法人用会計ソフトでは、いずれも事業名を入力する欄が設けられていますので、その部分も入力しておかないと、最後に集計を取る際に存部分が抜けてしまう恐れもありますので、注意してください。

 

(3)事業別仕訳の具体的な仕訳

これから具体例をもとに、仕訳を行ってみます。
前提:当法人は、子育て支援事業と学習サポート事業を行っており、事務局で全体の管理運営を統括している。なお、子育て支援事業は「子育て」、学習サポート事業は、「学習」と略称で仕訳を行う。

 

取引事例

①子育て支援事業で講演会を実施することとなり、当日出席者に配布する資料を印刷し、その代金32,000円を現金で支払った。

②学習サポート事業で使用するノート、筆記具を10名分購入し、代金6,500円を現金で支払った。

③定例理事会を実施した際、出席者のために飲み物を購入し、代金900円は現金で支払った。

④学習サポート事業への使途が指定された寄付金10,000円が普通預金に振り込まれた。

⑤事務所の電気代16,800円(子育て支援事業費分5,300円、学習サポート事業分7,500円、管理費分4,000円)が普通預金口座から引き落とされた。

 

解答・解説

上記の取引に係る仕訳は次のようになります。

 

 

ここでの注意点は、現金や普通預金といった貸借対照表(資産、負債、正味財産のグループ)の勘定科目については、事業名をつけないことです。通常、資産、負債、正味財産はどの事業にも属するものではなく、法人全体で管理されるべきものだからです。

まれに、普通預金、現金等が特定の事業と結びついて管理されるケースもありますが、それは特殊な事情がある場合であると考えておいてください。

次は、今回学んだところについて、問題練習(テキスト第16回分)をしてみましょう。