前回までで、この初級での簿記の基本的な知識は学び終えました。
今回からは、いよいよ決算について学んでいきます。

 

1.決算とは

(1)決算とは

決算とは、期末(決算日)に、それまでの会計期間で記録された勘定を整理して、貸借対照表と活動計算書を作成する手続きをいいます。
決算日は一会計期間の最終日です。NPO法人の場合は、決算日をいつにするかという決まりはありませんが、多いのは3月31日です。
決算の手続きは、期末(決算日)の日付で行われますが、実際には決算日後、2か月間で行うことになります。

※NPO法人の場合、決算日の翌日より3か月以内に所轄庁へ事業報告書とともに決算書(財務諸表)を提出することとされていますが、法人税等の税務申告を行う場合は、その申告期限は決算日の翌日より2か月以内とされていますので、決算書(財務諸表)は2か月以内に作成する必要があります。

したがって、実務では次期に入ってから、その期の期中処理とともに前期の決算手続きを同時に行うことになるので、どこの法人の会計担当者も超多忙になります。

 

(2)決算手続きの流れ

決算は、期中の記録(総勘定元帳)をもとに、次の流れで行います。

①試算表の作成
総勘定元帳をもとに、試算表を作成します。

②決算整理
試算表に記載された金額には、記載漏れ、現金過不足の未整理、その会計期間に発生した収益や費用を正しく表していないなど修正すべきものがあります。
そこで、それらを修正する手続きを行います。この手続きのことを「決算整理」といい、そこで行う仕訳を「決算整理仕訳」といいます。

③精算表の作成
試算表と決算整理をもとに「精算表」を作成します。
精算表は、試算表から決算整理を行って「活動計算書」と「貸借対照表」を作成する過程をまとめた表で、正式な「活動計算書」と「貸借対照表」を作成する前に試みとして作成されます。ただし、会計ソフトを利用している場合は、通常、この精算表の作成は行われず、決算整理後の試算表が表示されます。

④財務諸表(貸借対照表と活動計算書)の作成
精算表をもとに正式な「活動計算書」と「貸借対照表」を作成します。

 

(3)決算整理事項

この初級講座では次の決算整理事項について処理の仕方を見ていきます。
①現金過不足の整理
②固定資産の減価償却
③費用・収益の繰延べ
④費用・収益の見越し

今回は、上記のうち①現金過不足の整理について学びます。

 

2.現金過不足の整理

(1)決算日における現金過不足の整理(その1)
期中において、実際の現金有高と帳簿残高に原因不明の差額が発生した場合は、帳簿残高を実際有高に揃えるために、「現金過不足」勘定で処理し、その原因が判明したときは、その現金過不足の残高を正しい勘定科目に振り替える処理をします。(「第6回 現金過不足とは」を参照)
しかし、決算日になっても原因が判明せず、現金過不足の残高が残ったままのときは、どうすればよいでしょうか。

 

(2)決算日になっても現金過不足の原因が判明しないときの仕訳

①現金過不足勘定が借方残高のとき

 

 

現金の実際有高が帳簿残高より少ないときに、現金過不足で処理すると、「現金過不足」勘定は、借方(左側)残高になります。これを決算日に処理するときは、上記②のように、「雑損」(「雑損失」または「雑費」)で処理し、「現金過不足」勘定の残高をゼロにします。

 

②現金過不足勘定が貸方残高のとき

 

 

現金の実際有高が帳簿残高より多いときに、現金過不足で処理すると、「現金過不足」勘定は、貸方(右側)残高になります。これを決算日に処理するときは、上記②のように、「雑収益」(または「雑収入」)で処理し、「現金過不足」勘定の残高をゼロにします。

 

(3)決算日に現金過不足が生じたときの仕訳

 

 

決算日に現金過不足が生じた場合は、「現金過不足」勘定を使わず、直接「現金」勘定を増減させる処理を行います。

次は、今回学んだところについて、問題練習(テキスト第17回分)をしてみましょう。