今回からは、2回にわたって、決算整理事項の「費用・収益の繰延べ、見越し」について学びましょう。これは、当期の費用・収益と次期以降の費用・収益を適正に区別するために行う手続きです。
期中において、費用や収益を計上していますが、その中には、次期以降のものが含まれていることがありますし、また逆に、当期の費用や収益にしなければならないものが記帳されていないこともあります。このままでは正しい費用や収益を計算できないので、決算でその修正を行うことが必要です。
今回は、「費用・収益の繰延べ」を見ていきます。

 

1.費用の繰延べ

(1)費用の繰延べとは

期中において、費用の計上をしていますが、その中には、次期の費用となるものが含まれていることがありますので、それを当期の費用から差し引いて、次期の費用となるよう修正をする手続きを「費用の繰延べ」といいます。
図で示すと、次のようなイメージです。

 

 

上記のように、当期に支出した費用のうちに、次期に計上すべき費用(B)が含まれている場合は、それを差し引かなければ、正しい当期の費用(A)は計算できません。

 

(2)費用の繰延べのための仕訳

当期に費用として支払った額のうちに次期以降の費用となるべきものが含まれているときは、当期の費用から差し引くとともに、次期以降にそのサービス等を受ける権利を表す「前払金」(資産グループ)という勘定科目で同額を計上します。
なお、「前払金」の詳細は、テキスト第10回を参照してください。

 

 

勘定科目の説明

 

まず、7月1日には次のように仕訳をしています。

 

 

この場合、7月1日に全額当期の費用として計上していることになりますが、この金額の中には、次期(4月から6月まで)の分も含まれています。
そこで、その次期の費用となる分を当期の費用から差し引くため、「支払保険料」(費用グループ)を貸方(右側)に記入するとともに、次期に保険のサービスを受ける権利を増やすため、これを表す「前払金」(資産グループ)を借方(左側)に記入します。

 

2.収益の繰延べ

(1)収益の繰延べとは

期中において収益を計上していますが、その中には、次期以降の収益となるべきものが含まれていることがありますので、それを当期の収益から差し引いて、次期の収益となるよう修正する手続きを「収益の繰延べ」といいます。
図で示すと、次のようなイメージです。

 

上記のように、当期に入金を受けた収益のうちに、次期に計上すべき収益(B)が含まれている場合は、それを差し引かなければ、正しい当期の収益(A)は計算できません。

 

(2)収益の繰延べのための仕訳

当期に収益として受け取った額のうちに次期以降の収益となるべきものが含まれているときは、当期の収益から差し引くとともに、次期以降にそのサービス等を提供する義務を表す「前受金」(負債グループ)という勘定科目で同額を計上します。
なお、「前受金」の詳細は、テキスト第12回を参照してください。

 

勘定科目の説明

 

まず、9月1日には次のように仕訳をしています。

 

 

この場合、9月1日に全額当期の収益として計上していることになりますが、この金額の中には、次期(4月から8月まで)の分も含まれています。
そこで、その次期の収益となる分を当期の収益から差し引くため、「受取受講料」(収益グループ)を借方(左側)に記入するとともに、次期に講座を受けさせる義務(負債)を表す「前受金」(負債グループ)を貸方(右側)に記入します。

 

 

3.繰延べ計上した費用や収益の再振替仕訳

決算で繰延べ計上した費用や収益は、翌期首にもとの勘定に振り替える仕訳を行います(振り戻し)。これを、「再振替仕訳」といい、具体的には、決算時に行った仕訳の逆仕訳(貸借を反対にした仕訳)を行います。なぜ、「再振替」というかというと、前期末の決算時に、それまでの期中に行った費用や収益の計上分を「前払金」勘定や「前受金」勘定に振り替えましたが、翌期首に、それを「再度」もとの勘定に「再度振り替える」からです。この再振替仕訳を行うことにより、前期に繰り延べた費用や収益を次期の保養や収益とすることができます。
ただし、この再振替仕訳は、「継続的な役務提供契約」に基づく費用・収益の場合のみ行いますので、注意してください。

 

 

次は、今回学んだところについて、問題練習(テキスト第19回分)をしてみましょう。