前回までで、一通りの決算整理事項は終わりました。今回は、それを踏まえて、精算表の作成を行います。

 

1.精算表とは

精算表とは、決算整理前残高試算表から、決算整理仕訳を経て活動計算書、貸借対照表を作成する過程を表にしたものをいいます。
精算表は、決算手続きを検証し、活動計算書や貸借対照表を簡便な形で作成することにより、経営成績などを早期に知るために作成されます。

 

2.精算表作成

(1)作成例

作成例として、次の例題を見ていきましょう。

設例1

以下の決算整理事項にもとづいて、次の精算表を完成しなさい。なお、当期は平成27年4月1日から平成28年3月31日である。

 

決算整理事項

  1. 決算日当日、現金の実際有高を調査したところ、帳簿残高より100円多かった。
  2. 什器備品(平成26年10月1日取得)について、定率法により減価償却を行う。
    なお、耐用年数は5年(償却率は0.500)である。
  3. 支払保険料のうち300円は次期の前払い分である。
  4. 受取手数料の未収分が240円ある。
  5. 次期の会費500円を平成28年3月1日に受け取っていた。

 

(注)

  1. 会費はすべて正会員からのものである。
  2. 受取助成金等は、すべて民間の助成団体からのものである。
  3. 事業収益は、すべて「地域ふれあい事業」によるものである。
  4. 給料手当のうち、3,000円は管理費にかかるものである。
  5. 旅費交通費のうち、1,000円は管理費に係るものである。
  6. 消耗品費のうち、850円は管理費に係るものである。
  7. 支払保険料は、すべて事業費に係るものである。
  8. 減価償却費は、すべて事業費に係るものである。
  9. 雑費は、すべて管理費に係るものである。

 

精算表(未記入)

 

(2)精算表の記入方法

精算表の記入方法は次のとおりです。

①まず、与えられた決算整理事項にもとづいて、決算整理仕訳を行い、それを修正記入の欄に記入します。

②試算表の金額と修正記入の金額を加減して、活動計算書と貸借対照表の欄に移記します。その際、それぞれの勘定科目が活動計算書、貸借対照表のいずれの科目であるかに注意してください。(それぞれの勘定科目が「資産」、「負債」「正味財産」、「収益」、「費用」のいずれのグループに属するものかを覚えていることが必要です。)

③試算表の金額と修正記入の金額を加減計算と活動計算書、貸借対照表への移記の仕方は次のとおりです。
ⅰ)借方同士、貸方同士は加算します。
ⅱ)借方と貸方同士は減算します。
ⅲ)借方残高、貸方残高の金額を活動計算書または貸借対照表に移記します。

 

表

 

④活動計算書(または貸借対照表)の借方合計、貸方合計を計算し、その差額を借方または貸方に、勘定科目を「当期正味財産増減額」として記入します。そして、借方合計と貸方合計を一致させます。

⑤活動計算書(または貸借対照表)に記入した差額分と同額を貸借対照表(または活動計算書)にも記入し、その借方合計と貸方合計も一致することを確認します。
・活動計算書で差額を「借方」に記入した場合⇒貸借対照表では「貸方」に記入します。
・活動計算書で差額を「貸方」に記入した場合⇒貸借対照表では「借方」に記入します。

 

(3)解答・解説

本問の精算表の作成は、次のように行います。

①まず、与えられた決算整理事項にもとづいて、決算整理仕訳を行います。

 

仕訳

 

解説

1.現金の実際有高が多いときは、帳簿残高を増やすので、「現金」勘定を借方(左側)に記入し、その増えた分を収益である「雑収益」勘定で貸方(右側)に記入します。なお、決算日において、その増えた原因は不明である場合は、「現金過不足」勘定を使いません。

2.什器備品の減価償却の記帳は、試算表に「減価償却累計額」がないことから、直接法を使っていることがわかります。そこで、試算表の「什器備品」勘定の金額は帳簿価額ですので、什器備品の減価償却費の計算(定率法による)は、次のとおりとなります。
減価償却費=3,750円×0.500=1,875円

3.次期の前払い分は、当期の費用である「支払保険料」から除くため、費用が減るので「支払保険料」を貸方(右側)に記入し、その同額が、次期に保険のサービスを受けることができる権利(資産)である「前払金」が増えるので、「前払金」を借方(左側)に記入します。

4.当期に発生しているが、受取日が次期に到来する「受取手数料」は、当期の収益として増やすので、「受取手数料」を貸方(右側)に記入し、その同額が、次期に受け取ることができる権利(資産)である「未収金」として増えるので、「未収金」を借方(左側)に記入します。

5.次期のために受け取った会費は次期の収益となるものなので、当期の収益である「受取会費」から除くため、収益を減らすので、「受取会費」を借方(左側)に記入し、その同額が、次期に会員へ果たさなければならない義務(負債)である「前受金」として増えるので、「前受金」を貸方(右側)に記入します。

 

②上記の仕訳を精算表の修正記入の欄に記入し、試算表の金額と修正記入の金額を加減して、活動計算書と貸借対照表に移記します。最後に、「当期正味財産増減額」を貸借差額により計算します。

 

③解答

 

精算表(記入済)

 

(4)精算表の形式について

①8桁精算表
上記で作成した精算表は、「8桁精算表」と呼ばれるものです。
なぜ、8桁かというと、「決算整理前残高試算表」(略称:前T/B)に借方貸方の2桁、修正記入欄に借方貸方の2桁、活動計算書の借方貸方の2桁そして貸借対照表の借方貸方の2桁で合計8桁になるからです。

②10桁精算表
8桁精算表に対して、もう一つ10桁精算表というものがあります。
これは、8桁精算表の修正記入欄の右横に「決算整理後残高試算表」(略称:後T/B)の借方貸方の2桁を加えたものです。この「決算整理後残高試算表」は、決算整理前残高試算表の金額に修正記入の金額を加減して作成します。この「決算整理後残高試算表」は、ほぼ貸借対照表や活動計算書の金額が出ていますので、それをその右側にある他活動計算書や貸借対照表に移す(移記)するだけで、それぞれの表は完成することになります。
上記①と②のどちらの精算表を使っても、同じように検証をすることができますし、もちろん結果も同じですから、その法人でどれを採用するかはご検討いただければよいと思います。

 

この回の演習問題はありません。上記の内容をよく復習して、精算表の書き方を理解しておきましょう。